島名の由来は神功皇后と櫛。
上蒲刈島は蜜柑とリゾートの島。
上蒲刈島/Kamikamagari-jima
▲こんな狭い路地でも軽トラは便利。
▲日高庄八幡宮は長い石段を上った先。
▲おじいちゃんとお孫さんの散歩風景。
▲やっぱり蒲刈といえば蜜柑畑ですね。
▲珍しい注連柱のある鳩崎八幡神社。
▲田戸の町並みをゆっくり歩いてみる。
▲向では海岸付近で野良の集団に遭遇。
▲向の町並みもなかなか雰囲気がある。
▲波止場で3世代揃って釣りをしていた。
上蒲刈島は、お隣の下蒲刈島と並んで蜜柑などの栽培が盛んで、さらにスモモは県内有数の生産を誇っている。その地名の由来は神功皇后がこの島に立ち寄った時、櫛を落とし一面に生えている蒲を刈って櫛を探した事から来たとも伝わり、島内には製塩施設跡や古墳なども見つかっていて島の歴史は深い。現在は瀬戸内海の恵まれた自然「海と島」を生かし、「県民の浜」など観光や福祉などリゾートに力を入れている。
安芸灘大橋を渡ってまずは下蒲刈島に入り。さらに1979年開通の蒲刈大橋を渡って上蒲刈島に入った。蒲刈大橋を渡る途中左手に向港のある向地区が見えるが、今回は左回りに島を巡るのでそのまま南の海岸線を走って行き、しばらく右手に海を見たまま走ると右正面に細長い半島が見えて来た。ここには海水浴場や宿泊施設のある「県民の浜」があるのだが今回はちょっと立ち寄っただけにして、その手前の細い坂道を上り昔の水軍の見張り場とも伝わる「物見橋」から瀬戸内海の絶景を眺めたあと、大浦地区に向かった。
前日までの下調べでこの島には随分と神社が多い事が分かっていたので、今回はちょっと神社を中心に巡ってみようか、という思惑も実は少しだけあったりした。それにしても八幡宮が多いのはなんとなく分かるとして、なぜか春日神社も多いのは理由があるのだろうか? 地図などを見ると春日神社は向地区、大浦地区、田戸地区の3箇所にあり創建は結構古い。興味は尽きないがそれは後日の個人的な楽しみとしてとっておき、まずは大浦地区を巡る事にする。同行したメンバーと手分けして巡り、自分は県道287号沿いの町並みを歩いて行くと、県道沿いに小さな川が流れていてこの時間は引き潮で川底があらわになっている。家々は道路沿いから山裾に向かって広がり、その山裾には数は減っているようだが蜜柑畑が広がっていた。地図で地形を見た感じの想像なのだが、この地区の海沿いから真ん中辺りに広がる地域はかつて海だったのではないだろうか? 反対側の山沿いに並ぶ家々や道の様子から見てもそう感じられ、ちょっとした湾になっていたのではと勝手に想像する。小学校らしき建物があるが、平成18年にこの蒲刈小学校と向地区の向小学校が統合して向小学校を校舎としてスタートしているので、この建物は今はもう小学校ではないのだろう。
歩いているうちに海岸線に出て地区の反対側から戻って来たメンバーと合流、ちょっと移動してから海岸沿いに立つ鳥居の所へ。その前の海に見える荷島には島と島の間に柱連縄が張ってあった。海岸沿いにあるのはおそらく地図で見たところ春日神社だろう。その山裾にある石段で大浦地区の氏神、日高神社(日高庄八幡宮)に登ってみた。思ったより長い石段にヘロヘロになりながら上ると、途中道路が横断。車で上がれば良かった・・・。この地は昔の八幡山城跡だと言われる。
そこから今度は宮盛地区に移動。まず亀山神社とその周りを散策、この辺りも山裾や家々の間には蜜柑畑が広がっている。亀山神社近くにある荘厳寺も訪問。室町時代の文明年間(1469~1487)創建とされ、山門の彫刻が素晴らしいかった。郵便局や商店のある海岸線の町並みもゆっくり散策してみると「日露戦役紀念碑」「北清役紀念碑」と掘られた石柱型の記念碑を発見。これまた興味が尽きない。宮森地区の港辺りには撰果場があり、収穫の季節になると蜜柑でいっぱいになるのだろうか。
田戸地区に入り港近くに車を止めて、まずはすぐ目の前の小山にある鳩崎八幡神社に登ってみた。長い階段を上ると拝殿と本殿があり注連柱と狛犬2匹がお出迎え、結構な細工の立派な狛犬で、慶応年間に尾道の石工が作られたとの事。雰囲気のあるいい神社だった。この田戸の町並みを小さな川沿いに散策してみると島らしい雰囲気の家並みが続き、その最奥に春日神社があった。その先で合流している広い道路は島の反対側に続く比較的新しい道だ、それに比べればやっばり川沿いの昔ながらの道の方が雰囲気がある。ここ田戸にもフェリーターミナルがあるが、橋がすべて開通した後、フェリーは無くなったと聞いているので、今も使われているかどうか分からない。そこからさらに車で移動してようやく最初に蒲刈大橋から見た向地区に入った。
向地区に入りメンバーと手分けして散策開始。まず手前本土側の町並みを散策中に野良猫の縦断を発見。ここで我を忘れ野良猫の写真を撮るのに夢中になり島巡りの目的を一時完全に忘れた・・・。我を取り戻して向地区の中心部に向い、まず一気に町を抜けてみた、そこから一旦山の方に向かって歩いて春日神社を訪問した後、雰囲気のある向地区の路地を巡りつつ再び海岸線へ戻ると、波止場で親子連れや学生達が釣りをしている光景が見える。そのまま蒲刈大橋の真下辺りまで歩いてから再び中心部に戻った頃には日か沈み始めていた。
前回、桜の季節の「下蒲刈島」訪問の際、自分は訳あって参加出来ず悔しい思いをしたので、今回はそのリベンジもかねていたのだが、あいにく天気は薄曇り。それでも雨男の自分が雨に降られる事も無く無事上蒲刈島散策を終えられたのだから良しとしようか。なによりも帰りに食べたお好み焼きが美味しかったので終わり良ければすべて良し、ということで。
文/黒川寿明
参考資料/日本の島ガイド シマダス(財)日本離島センター、他
● 観光情報に関してはコチラをチェック → くれナビ『上蒲刈島観光情報』ページ
● お得情報/土・日・祝祭日に行かれる方はコチラをチェック → 安芸灘大橋有料道路回数通行券助成事業